お鼠咥えたドライタチ

毎年秋は深山というに相応しい、深い静かな山に秋を感じる為に1人で登山を楽しんでいた。計画では秋になったら恵那山登ろう、去年と同じく能郷白山に行こうか、と思っていたが熊が怖いのなんのって。私の無鉄砲を知っている両親から、山行ったらダメだ!と言われまくっているけど、言われるまでもなく、怖くて深山に行けぬ。

 

うっうっ。泣ける。人の気配の無い秋の青い空と落ち葉の落ちる音と、爽やかな冷たい空気、秋ならではの深山の空気が恋しい〜。そういう事で深山ではないが家の裏山散歩で我慢する。

 

ジョウビタキアオジキセキレイヤマガラカシラダカ、鳴き声だけのウグイス、コゲラ、色々な鳥を見たり鳴き声に癒される。今日は登山者もいないので静かだ。鳥待ちしましょ、と倒木に腰掛けていたら、サクサクと登山道を歩いてくる落ち葉を踏む軽めの足音が聞こえる。振り向くと自らの顔の大きさくらいはあるネズミを咥えたイタチがこちらへ歩いてくる。

 

イタチもややあって私に気がついて逃げるのだが、如何せんデカイ得物を咥えているので、逃げ足が遅い。どこへ行こうというのかね〜と私の中のムスカが疼いて追いかけはするが、しばらくすると薮の中へ消えてしまった。イタチと追いかけごっこ。これが本当のイタチごっこか?まあ、意味は違うけど。

 

山ってさ、意外に野生動物も人間も結構近くなってからしか相手の存在に気が付かないものなんだよね。熊もさ、いきなり出会う確率の方が高い訳だ。熊鈴、もっと音の鳴るのつけよう。あと、高っっか!と思って買わなかった熊撃退スプレー。あれやっぱり買おう。

 

お魚咥えたドラ猫追いかけて、ではないが、お鼠咥えたドライタチを追いかけたおかげで決心がついた。うむ。お高い熊スプレー買うべ。