平家穴

西穂高奥穂高岳、登りたいな〜という事で体力を付ける為に近所の低山を縦走しに行く。縦走なのでそれぞれの山に登る人には会ったが、流石に縦走する物好きはいないだろう、とタカをくくっていたら、物影からガサゴソするので熊かと思い、うわあああ!!と叫んだらフツーに縦走している登山者だった。

 

この暑いのに低山縦走する物好きが私以外にいたのかよ!と思いつつ叫んだ事が申し訳無く、ごめんなさい、ビックリして、こんにちは。と謝罪と挨拶をぶっ込んでおいた。快く笑顔で許して下さりこんにちは、と返して頂けたので良かった。

 

とりあえず今日の低山は蒸し蒸しとして暑く虫もブンブン多い。虫と言えばこの前アブに刺されて歩けなくなって救助を呼んだ人の話しがあったけど、鈍臭いよな。アブなんて蚊と違って大きいし、近付いてくるの分かるし、こっちがずっと動いていたらあんまり体に留まる事もしないのに。私なんて数年登山しているがアブや蜂に刺された事無いがな、と誰にともなくドヤる。まあ、こういう自分だけはそういうめに合わないと思ってるとその内合ったりするんだけどね。カッカッカッ。

 

と脳内で笑った瞬間に左ふくらはぎにチクっ!!と痛みが走る。何?!と見ると立派なアブが私の足に針を刺し始めているではないかっっ!!コノヤロウ〜!!と帽子で追い払ったが、その内そういうめに合う、そのめが意外に早く来たので今度は脳内ではなく物理的にゲラゲラ笑ってしまった。

 

しかし刺し始めてすぐに気がついたので、痒みも腫れもなく、穴だけポツっとしている。すみません、アブに刺されるなんて鈍臭いとバカにして。はい、誰でも虫に刺されます。自分だけはそういうめに合わないと思うのは、おごれるものもひさしからず、で滅びちゃえば良いお気持ちであるな。

 

下山中に何か上杉柊平似のイケメンが登って来たのだが、半袖短パンで肌が出まくっている。アブに刺されないかと、自分が刺された途端、万人全て刺されるような気持ちになる。柊平、アブには気を付けてね、と脳内で声を掛けておいた。

 

家に帰ってアブ刺され穴をじっくりと見てニヤニヤする。自分の中のおごりたかぶった平家なお気持ちの証拠だと思い、この穴は平家穴と呼ぼう。平家穴しばらく残ると良いな。実はアブに刺されたのが子供の頃の夏休み以来で、何か懐かしくてニッコリしてしまっているのだがな。