カエルの夏油

土曜日、西穂高岳を目指している時に前にいるグループのお姉さんが、明日はとうとう名古屋で夢にまで見た聖子ちゃんのコンサートの日だから、絶対無事で帰らないと行けない、と言ってるのを聞いた。なるほど。奇遇だ。私も明日は姉妹でストレイキッズのコンサートで名古屋に行かなければならない。チケットは電子チケットなので、私と私ならずスマホまでも無事に帰りつかなければならない。

 

って、思ったんだよ、と名古屋に向かう車の中で姉妹に話すと、え〜??聖子ちゃんってあの聖子ちゃん??松田聖子松田聖子のコンサートに行く人いるの??と、そっち?感想そっち?という感想が返ってきた。

 

調べてみると日本ガイシの方で松田聖子ちゃんのコンサートがなるほどやっている。それを言うと、そうなんだ…結構大きいところでやるね、見に行く人いるんだ…と意外そのものである。松田聖子ちゃんと松田聖子ちゃんのファンに対して大概失礼な物言いである。むしろうちらの年代からしたらストレスキッズより松田聖子のコンサートに行く方がしっくりくる。とは思ったが、妹が怖いので黙っておいた。

 

ストレイキッズは姉妹がハマっていて、私も曲やダンスがオラオラ系なので好きなのだが、嵐にハマっていた生粋のアイドルオタクの姉妹とは違い、私はアイドルに対する熱の入れ方があまり分からないのである。最後の辺りはお腹も痛くなってきたのでトイレに行ってそのまますいません、すいませんと謝りながら自分の座席まで戻る労力を払う程の情熱も自分に無いのを悟り、廊下でボーとしていた。それこそストレイキッズのファンにチケット取れたのに見るのを諦めてボーとしている所業を殴られそうだが。昨日のお姉さんは松田聖子ちゃんのコンサート楽しんでいるだろうか。

 

という土日の2日を終え、本日月曜日は遊び疲れたので、有給をとり庭の草むしりをする。草の陰から、大きなトノサマガエルが飛び出してくる。うわぁー!!っとビックリするも、そうだった、ここの草場は奴の住処であったわ、と思い出す。何度ポイ!と道路に捨ててもいつの間にかまた私のうちの庭に戻ってくるので、諦めてもう住まわせてあげている。

 

もう3ヶ月もするのに名前を付けて無いのもあれだしな、と思い、ガマの脂っていうくらいだからカエルも油があるだろし、夏になってから会ったし、カエルはゲゴゲコ鳴くだろし、ということで夏油と呼ぶことにした。

 

夏油、飲み込むのは昆虫だけにして、私の庭で幸せになってくれ、とアニメを思い出して涙を拭う。実際は暑さで汗と鼻水を拭ったのだけど。草取りしている間も夏油はこっちの様子を草葉の陰からジッとつぶらな瞳で見てくる。

 

夏油、しばらく雨が続きそうだから、良かったね、大人しくしてなよ、と話しかけておいた。夏油の住処の草はあまり取らずに程よく日陰になるようにしておいた。たまに夏油がちゃんと庭の番人をしているか覗きにこよう。