目にはしていても存在しない

カエルの夏油が消えてしまった。草を刈り取りすぎて暑かったのか、辛気臭いキャラの名前が気に入らなかったからなのか、お庭を出て行ってしまった。もっと陽気なキャラの名前、例えばケロロ軍曹とかでも付ければ良かったのだろうか。まあ、私はギロロ派だが。

 

庭には他にもメダカを飼っているが、放置しすぎて水草と藻に埋もれて観賞用メダカの責務を果たせさせてあげれていない。一念発起してプラ舟に新しく水草と水を用意し、あまり藻が生えないように日陰に置いてメダカ達を移動させる。勝手に増えているので、冬眠明けには20匹いかないくらいだったが、今は40匹弱になっている。

 

メダカを眺められるようになると1つ危険な事がある。時間泥棒なのだ。あやつらのひたすらエサを探してツンツンしたりヒラヒラ泳いでいる姿をジィ〜っと観ていると、マジで30分くらいあっという間に時が経ってしまう。多分時間魔法を使えるメダカが混じっているのかもしれない。白い体の頭頂部だけ黒い斑点のあるあのメダカかもしれない。パンダと名付けよう。さすがにメダカは名前が嫌でもカエルのように家出というか庭出する事はあるまい。

 

最近クルクルドライヤーを人生初購入した。恥ずかしながら化粧だの髪をブローするだの、とんとやって来なかった人間なので、クルクルドライヤーの存在を目にはしていたのにそれと知らず、知らないという事は最早存在していないと同等なので、1年前に初めて存在を認識したのであった。

 

それというのも1年ほど前に、妹にいつものように髪がくしゃくしゃ汚いブローしてないね?と聞かれて、わたしゃ不器用なので櫛とドライヤーを両方持って美容師さんのようにブローする事は出来ない、だからブローするのは一生諦めている、と告げたところ、妹は顎を外さんばかりに驚愕し、嘘やろ?!お姉ちゃんクルクルドライヤーの事知ってる?!櫛が先についたドライヤー、子供ころからお母さん使ってたし、私も使ってたし、絶対目にしてたはずだよ!?存在知ってる?まさか今まで知らなかったの????

 

と言われたのであった。その時私の中にあった細長い先にツンツン櫛みたいのがついたドライヤーみたいなの、変な形、と思っていただけの自分の過去の記憶と結びつき、あ、あれがクルクルドライヤーっていうやつ?今まで使った事ないよ、と曇りなき眼で応えたところ、いや!今すぐ買いな!と妹にドヤされたのであった。

 

それでこの前実家に黒猫ジジを見に行ったら、お姉ちゃん、また髪がくしゃくしゃ、まだクルクルドライヤー買ってないやろ!!もう1年近く経つよ!早く買いな!と思い出したようにドヤされたので、次の日これ以上妹をクルクルドライヤー使った事のない身だしなみトハ?ナニソレロボットワカラナイ、的な人間の妹にさせておくのは気の毒と思い買いに行ったのだ。

 

そして最近初めて使った。髪がツルツルする。何これ。便利。この歳になってもまだ新しい発見、(例えその他大勢の人は遥か昔にもうすでに発見している便利さであっても)に出会えるとは私は幸せものである。しばらくはクルクルドライヤーと睦み合うことにしよう。