キビタキと間抜けな蝶

会社のまあまあでかい催しものの司会に指名されるという、許容できるストレス値の範囲を超えた出来事があり、自分の思考から除外するという自己防衛機能を充分に機能させ、金曜日までは心安らかに過ごしていたが、前任の司会者から、今度の司会のシナリオ考えた?という言葉を投げかけられ一気に現実に引き戻された。

 

は?初耳なんすけど?シナリオってなんですかい?と聞き返すと、司会する人がシナリオ考えるんだよ、聞いてない?と言われる。聞いてないも何も詳細は追って連絡する、というメールが副部長からあるのみで、何も聞かされていない。シナリオって、いやいや、もうあと1週間きりましたよね?どういう事?

 

去年までは課長級がやっていた仕事だ、私みたいなペーペーがやる事ではない、と替わってくれ〜と上司に泣きつくも、いやそこはもう上が決定しちゃってるからね〜替わるとかは出来ないよね〜とのたまう。クッッソっ!!間違った方向で女の人も活躍してますよ、的な会社のアピールにいいように使われている。女も男もねえ!!!適任者がやるのが1番なんじゃ!!女を増やしたければ女の正社員を増やしていけばいいだけなんだよっっ!!女、女、女を使わなくっちゃ❤じゃねーし。それがそもそも差別なんだよっっっ。

 

はい、怒りとストレス値が自己防衛機能モードを発動させたので、土日は健やかに記憶を封じて楽しく過ごさせていただきます。

 

今日はそろそろ夏鳥キビタキに会いたい、先週の登山でも会えなかった、いつ会えるの?と恋しい気持ちでキビタキに会えるかもと、裏山に散歩に行く。裏山を1周しても会えなかったので、まあ、今年は会えぬのかもしれぬな、会いたいと思うと会えぬものだ、今年は会えぬと思って諦めよう、と思った瞬間、目の前を黒い物体が通り過ぎ木の枝に留まった。そもそも黒い小鳥って山では珍しいのだ。まさかと思って双眼鏡を覗くと黒いタキシードを着て黄色いシャツを着こなす、そう貴方はキビタキさん!!

 

おかえり、おかえり、いやー、おかえり。良く渡ってきたね〜、とニコニコで話しかけるも秒で逃げられたが。

 

それから帰る途中に道端でヒョウモンチョウがなんかジタバタしている。よく見るとオスが、ね、いいよね、ちょっとだけ、ね、結婚しよう、ほら、ね?こっち来て?ね?好き、好き、すっき〜!!ってスンとしているメスに自分の交接器を一生懸命向けて言い寄っている。何か必死なわりに、メスに近付くのが下手過ぎて笑ってしまう。オスは挙動不審な動きを繰り返すものだから、自分が横倒しになってひっくり返ってしまっている。結局メスに相手にされないので、我に返ったのかメスから離れると諦めてどっかに飛んで行ってしまった。何かちょっと間抜けな蝶々だったな。でもその間抜けさに癒された。

 

キビタキと間抜けなオス蝶に出会えたから今日は良き日であった。あと、今日のキビタキでもそうだが、見ようと思うと見れず、諦めた時とかそもそも見るのを諦めてる時の方がふいに目的の鳥さんに会えることってある。きっと見ようとする雰囲気がバリバリ出てると野生のもには勘付かれやすいのかもしれぬな。気を抜いてぽや〜と歩いている方が自然に確かに溶け込めているような気もする。

 

とにかく山はいい。木々の匂いや小鳥や虫が日々の仕事の滅したい出来事をごくごく小さい砂粒みたいな小ささにしてくれるからな。 

 

画像は我に返って虚しくなってるオス(左手前)と、最初から拒むでもない受け入れるでもない曖昧な態度でオスを焦らす小悪魔的メス(右奥)

 


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