紅葉踏み分け鳴く鹿の

北アルプスとか有名どころを登り初めたが、冬になったのでまた地元の低山を登り始めた。久しぶりに低山に来ると本当に登山者私だけじゃない?ってくらい人がいない。熊は怖いがこれこそ真に山を楽しめるというものだ。ゆっくり鳥も見える。あと、北アルプスってだけでビビりまくっていたが、低山の方がハードモードであったりする。

 

なんせ登山道は荒れている事が多いし、トイレは無いし急登が多いし、こんにちわ熊、っていつ熊が薮から出てくるかわかったもんじゃない。だからリンリンリン鈴鳴らしまくりだ。

 

今日は山から女の人の叫び声みたいな声があちこちから聞こえて、背筋が凍ったが良く聞くとなんか鹿っぽい。鹿の鳴き声は聞いた事無いが、山にいる生き物でこの手の鳴き声を出しそうなのは鹿しかあるまい。それで妙に寂しげな声なので、ハッ!とした。

 

百人一首のあの歌!奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき、だ。えー!!私今めちゃ百人一首の情景そのものを味わってるじゃないですか。百人一首4DXだ。奥山だし秋だし落ち葉サクサクだし鹿鳴いてるし何か寂しげだし。妙に感動。

 

百人一首の情景を味わえて勢いついてザクザク急登を攻めて4時間弱で頂上に到着。遥か遠く雲の向こうにうっすら槍ヶ岳御嶽山。目の前にはデン!と白山。白山も登りたいな。しかし余裕余裕!私はもう標高差1500くらいなら余裕だわい!カッカッカッ!と高笑いを心の中であげる。頂上は登山道では全然会わなかったのにどこから湧いたかまあまあ人がいたからね。

 

で、下り始めて気が付いたか急登が多かったという事は下りがハードモードだと言うことだ。最後のあたりは足ちぎれそうにカクカクするじゃん。頂上での余裕は吹っ飛んで、下りもっと上手にならないとな〜とうってかわって謙虚。

 

しかし家に帰ってからあんまりグッタリしていない。おお!体力ついてる!前は帰ったらグッタリバタンキューだったのに!この調子で体力もっと付けて来年は槍ヶ岳へ行くんだい!

 

家に帰ってきて今日見た鳥の名前を調べ、それから悲鳴ぽい鳴き声はやはり雄の鹿の発情期の鳴き声だった事も調べた。寂しげに鳴いていたが、出会いを求める声であったか。悲痛は悲痛でも、そっちの悲痛かい。いやいや当人(当鹿?)にとってみれば大きな問題だ。あの鳴き声には次世代の鹿が生まれるかどうかがかかってるんだからな。