お手軽サイコパス登山

近隣の低山を登山しているが、熊の出そうな山は避けて来た。しかしそうすると同じ山ばかりになるので、入口に熊出没注意なんて書いてあるお山を今日初めて、登ることにした。ドキドキ。貴方には絶対会いたくない。入口の看板に祈りを込めて登り始めた。

 

綺麗な清水の湧き出る小川を通り順調に登っていると、上の方からパキパキと微かに音がする。人の歩くような、それにしては登山道のない方ではないか?え?マジ?熊?こりゃ熊った、なんて言ってる場合じゃない。

 

息を潜めて耳を研ぎ澄ませる。木の上の方からパキパキとする。ザワザワするし、マジもんですか?熊がドングリでも取りに木に登っているのか?こんなにドキドキするのは、いつぞや恋した時以来か。でも私は貴方には会いたくないって祈りましたよね?こんなドキドキする気持ち(恐怖)知りたくなかった!

 

そうこうしているうちに頭上からポロポロっと何かが降ってくる。背筋が逆立つ。落ちた物をよく見るとドングリだ。よくよく頭上を見ると、風が吹くたびに木が軋み、葉が落ちる音、ドングリが落ちる音が、動物の足音に聞こえていただけだった。

 

ホッとしたら気が大きくなった。ま、熊は昼間はあんまり出ないからな!ハッハッハ。それからは恐怖のキョの字も感じず頂上まで一気に登る。全然期待していなかったが、景色がバツグンに綺麗だ。遠くは名古屋のビル群、その向こうの海までキラキラと光って見える。

 

人もそこそこいて、ゆっくりお菓子でも貪り食べようかとおもっていたが、あまり座る所も無いので諦めて下山する事に。この山は気に入った。景色が綺麗だし家から近い。登山時間もそんなにかからない。そうだ、下界のゴミを見下ろしてやる、ってムスカな気持ちになったら、お手軽サイコパス登山がすぐに出来る。

 

下山してすぐに、エア熊に会った気持ちを思い出して、速攻熊よけの鈴を買いに行った。うむ。これさえあればもう大丈夫。しばらくはこの山を攻略しよう。ま、単純に人がそこそこ多いから安心しただけだが。