その性格の悪さは一周まわって

ブルーさんから内線で電話がかかって来た。仕事の話ではなくて、他部署で性格が悪いと言われているタイマツさんのことだった。タイマツさんのことどう思います?と聞かれて、仕事は遅いなー、と思いますよ。と本音を言うたら怒涛のようにそうでしょ、そうでしょ。すごい部署内で嫌われている、という話をしこたまし始めた。

 

おそろしく性格も悪いらしい。残業が多い課員に、ちゃんと時間を管理してもらわないと、僕の管理責任が問われるんだよね。僕は上を目指しているから、ちゃんとそういうの管理してもらわないと困る、と言うたらしい。そして自分は仕事を部下に押し付けさっさっと定時で帰るらしい。性格の悪さが周り回って地球1周して最早ギャグなの?という性格の悪さを見せてくれるらしい。

 

タイマツさんはその昔私の課にいた事もあって、その時もえらく上司からも周囲からも、変人で扱いにくく、仕事もできない、と散々嫌われていたのを思い出し、今回の件も本当の可能性が高そうだ。

 

しかしどこに行っても嫌われる人物ってのはいるもんだね。嫌われる天才。嫌われる才能。あと、フツーにタイマツさんだけでなく、仕事がそんなに出来るわけでもないのに、そういうのに限って偉そうに振る舞いプライドが高いという謎の現象を顕在させておる奇特な人物は、我が部署にもタンマリおるぜよ。

 

私が業務をしていく上で、仕事に一緒懸命で、仕事も早いのは、派遣とかから正社員になった女性だ。理由はハッキリしているだろう。うちの会社も正社員として採用する男女比は、つい最近まで圧倒的に男性が多かった。男性と女性で仕事の出来る出来ないの割合が変わらないのだとしたら、必然的に採用する男性には仕事の出来ない人もかなりの人数採る事になる。

 

ところが女性は正社員として雇わず、パートや派遣から雇い、仕事が出来ると判断した時点で正社員にする。お茶を濁さず言うなら、男性は採用の時点で無能か有能か判別できていなくても、有能であろうという見込みで雇って貰えるが、女性ははなから有能と判断されないと雇って貰えないのだ。ブルーさんも英語も韓国語も話せるトリリンガルなのに、派遣から正社員になっている。最初から正社員で雇っても問題ない経歴なのに。

 

だからか、ブルーさんは仕事をあまりしない正社員の男性が我慢ならないようだ。タイマツさんの件もあまり仕事しなくて評判が悪い事を聞きつけて、我慢ならなくて私に共感して欲しくて電話をかけてきたのであろう。

 

私自身はもうそういう人には慣れてしまった。我が部署にもおるが、人に仕事を押し付けて平気な人、自分の特にならない仕事は小指の爪先を1μも動かしたくない人、自分が仕事が出来ていない事を指摘されると物凄い勢いで自分の正当性をアピールする人、(いや、そのアピールするエネルギーを仕事を回すことに使えや、とツッコミたくなるが)、もうそういう人ばっかり。むしろ私の直属の上司のようにバランスの取れた優秀な人は稀と言って良い。

 

つまりだ、仕事が出来る性格も良い人の方が、この世界では異常なのだな、と思っている。だからタイマツさんの事も、あー、また出た出た、ギャグ漫画みたいなヤツが出てきたわ、と言うノリで見ているのだ。