相思鳥

コンビニの駐車場に入ったら、大柄の外人さんが自分の車の運転席を開けている。次の瞬間飛び上がって何かに驚いている。それもそのはず運転席には缶コーヒーを飲んでいるおじいさんが座っているのだ。どうなっているんだ?!的な感じでそのおじいさんを見つめていたが、外人さん、ハッ!として気がついたようだ。自分の車はその隣の車だったということに。

 

見ていて笑ってしまったが、もっと笑える事に外人さんが間違えた車と外人さんの車が似ても似つかない形と色なのだ。え?それ間違える?私も自分の車に似ている色の車に乗ろうとして同じように他人が乗っていて飛び上がった事があるが、私は色も形も似ていた。あんなに色も形も違うのに間違える事もあるのだな〜とニヤニヤして見ていた。間違えられたおじいさんも笑っていたし、外人さんは恥ずかしそうに自分の車に乗ってコンビニから出て行った。可愛い一幕だった。いいものを見た。

 

いいものを見たと行ったら、昨日は山登りしていて目の前に小鳥の集団が横切ったのだが、あまり人を怖がらないのでじっくり観察していたら、今まで見た事のない野鳥だった。いえ〜い!新しい野鳥ゲットだぜ〜い!と興奮してスマホで早速名前を調べる。最近は見慣れない鳥を見ると、瞬時に特徴を捉えてそれを頭に焼き付け、記憶が薄れないうちに種類を特定するスキルがついてきた。最初の時はどれが特徴的な部分かも分からなかったからな。

 

調べてみると相思鳥というらしい。素敵な名前に似つかわず、特定外来生物に指定されているらしいが、相思鳥とつけられているのも特定外来生物に指定されている事も鳥自身には預かり知らぬ事だしな。可愛いし、逞しく生きてくれ。

 

相思鳥というと小学生の時、1人1首百人一首の札を配られて、その札の1首を覚えて意味も発表する、という授業があって、その時の私の当たった札が、「あいみての 後の心に比ぶれば 昔はものを、思はざりけり」という1首だった。意味を調べたら、貴女に会った後の恋しさに比べたら、会う前の恋しさなど無かったようなものだ、というような意味だった。子供心に、うわ〜素敵〜。私もこん風に誰かを思ったり思われたりするのかな〜と思った記憶がある。

 

大人になった今、その1首を実感した出来事は、恋愛より趣味の方が多いが。こんないいもの知らずにいたなんて〜!!知らなかった時の私は存在してないにも等しいって感じかな。とりあえず今私がこの句を送る相手は、家で飼っている小鳥をおいて他にないな。小鳥も私の事を思ってくれているのでこれこそ本当に相思鳥だな。