ヒナよ安らかに

裏山の散歩に出かけたから、珍しく人に会った。ヨレヨレのリュックにタオル代わりか手ぬぐいをしばりつけ、登山ポールの代わりに木の棒を2つを握りしめて景色を眺めていらっしゃる、自然の中で本当に自然体のおじいさん。もうちょっと高い山登ると右も左も虹のマークの登山服はじめ、有名どころの登山具で登っている人が多いものだから、久しぶりになんつーか、家にあるもので間に合わせてます、的なおじいさんを見て親近感が湧いてしまった。つーのも、わたしも家にあるもので間に合わせてます、人種なので。雨具以外は。(その雨具も登山歴2年でやっと今年に入って1番安いメーカーのを買っただけだが)

 

こんにちわ、と挨拶すると大きな声で色んな山の事を話し始める。以前会ったおじいさんは、昔登った高山の話をしてくれたが、このおじいさんはもっぱら低山、里山専門のようだ。知らない里山の山道を見るとワクワクして登りたくなる性分のようだ。

 

いや、すっごいわかるんだけど。日本百名山みたいな山もいいけど、小さな里山って地元の人や、おじいさん曰く、ヒマな人が道を勝手に作るから色んな道があって、それを探して登る楽しさっていうのは、本当に冒険してるみたいなのだ。この道はどこに続いてるのかな、って。と言ってもある程度大きめの山でそれをやると遭難しちまうが。里山程度なら迷っても、トトロを追いかけるメイちゃんみたく、ズボッと薮から飛び出て山を抜け出る事も出来るからな。でもマムシとダニとヒルオオスズメバチ注意だけどな。

 

今日仕事から帰ってきたら、ツバメのヒナが5羽ともカラスに食べられていた。多分食べられホヤホヤなのだろうか、親ツバメとその仲間達がカラスを追い回していたから、私がもう少し早く帰って来てたらカラスを追い払えたかもしれない。近くに1羽でも助かって落ちていないか探したけど、きれいさっぱり食べられていた。しかしこれが自然の厳しさか。昨日ヒナを巣から失敬して、記念写真を取り巣に戻しておいたのだが、あれがヒナとの別れになってしまった。可哀想だがカラスも憎めぬ。本当に自然は厳しいのお。家畜となった我らには分からぬ厳しさよ。ヒナが可哀想でシクシク泣いちゃう。

 

この前モズのヒナが親鳥からエサを貰ったのだけど、上手く食べれず何度も咥えなおしているうちに、ポトッと下に落としてしまい、それを口惜しそうに木の上から何度も覗き込んでいる姿がえらいこと可愛らしかった。だけど、モズは雀も食べちまうからな。私は雀をこよなく愛しているので、じゃあモズが憎めるかというとやはり憎めないなあ。

 

私が憎めるのは、人間ぐらいか。会社で仕事してると、かなりの割合でモズやカラスのエサに供物として身を捧げて欲しい人がいっぱいいるからなあ。捧げよ〜捧げよ〜しん〜ぞ〜お捧げよ〜、って、ツバメのヒナの事がショックでついついイケナイ思考になっちまったい。