龍の巣だ〜

真夏真っ盛り。山登り始める前は夏はクーラーの効いたお部屋に籠る生活だった為、夏バテを起こしていたものだが、山をウロチョロするようになってから夏の暑さに強くなった。あえて日の上りきった12時くらいに登り始めるので、暑いし蒸し蒸しするし汗はだくだくかくし不快指数1000パーセント。しかしこの最高に不快で、最高に体力を奪われる山登りに慣れておけば、これから来る秋とかの登山が楽勝になるんじゃないか、負荷を大きくしておけば、小さな負荷は負荷と感じなくなるのではないか、とアホみたいに太陽に向かって山を登っていく。

 

しかし負荷を負荷と感じなくなるのは、筋力とか体力に限った事で、心の負荷は負荷をかけても強くなるどころか脆くなったり、逆に何も感じなくなったり、人の心に対して鈍感になったりするから、心の負荷はいらんよなあ、と考える。私は人付き合いが苦手だから、そこの部分は人と積極的に関わって克服しようと思った事もあったけど、疲れてすぐにやめた。

 

昨日は山登っていたら、ゴロゴロと雷が鳴って失神しそうになった。私は人5000倍雷が嫌いだ。妹に前世雷にでも撃たれて死んだん?と言われるくらい嫌いだ。いや、怖い。頂上に着いたらいつも人で賑わっているのに、昨日は私1人だけだった。慌てて展望台の上に登って雷雲の位置を確かめる。北西方向から黙々と雷雲発見!!龍の巣だ〜ってラピュタごっこしてる余裕はない!!なんせ雷が狙いを定めそうな人間が私しか今ここ(山頂)にいない!!雷が、う〜ん、誰狙おっかなあ〜こんなに人がいたら狙うの迷っちゃうな〜って、迷ってくれる時間が全然ない!!

 

一目散に山をかけ下りる。どんどん音は近くなる。もうほとんど真上から雷様の唸り声が聞こえる。途中で2組程人を抜く。これで狙いが2組増えた!!助かった!!(ひどい)

 

私があまりに必死に下りてくるので、年配のご夫婦が、雷鳴っちゃいましたね、とニッコリ笑って声をかけてくれたので、こちらも平静を装い、そうですね〜。怖いから早目に下りることにしました。と余裕かましてるが、足のスピードは落ちない。むしろ早めて死にものぐるいで下山した。いつも1時間くらいかけて下りてくるのに、今日は40分で駆け下りた。

 

ハアハア。死ぬ。死ぬところだった。と息を切らして車に乗ると空は1点の曇りも無く、雷雲は遥彼方に消え去っていた。龍の巣を抜けたんだな。うん。もうすぐピロンピロン言わせて小鳥を連れたロボット兵が迎えに来てくれるはずだな。つーか、夏の暑さは平気になったが雷が怖いという心の問題はやはり負荷をかけてどうにかなるものではないという事が証明されたな。