VIP扱い

今日は会社の健康診断があった。数年前から乳癌検診のマンモグラフィも受けている。マンモグラフィは、胸を平ペったくして器具に挟み込んでレントゲンを撮るのだ。

 

私のような挟む物がほとんど無いのに、毎回よく挟んでくれてんわ、てな感じで検査を受けていた。今日もそんな感じで優しい検査技師さんに、左向いてここに手を乗せて下さいね、と言われて、はい!って嬉しくて横を向く。それは右ですね、とやんわり訂正される。左向けと言われて勢いよく右を向いたアホにも優しく接してくれる。

 

しかし機械にブツを挟みこもうとするが、何か手こずっているようだ。少々お待ちください、と言ってしばらく待たされる。機械でも壊れたのかなあ?隣も今画像撮ってるから、交互じゃないと出来ないのかもしれないなあ、きっといっぺんに隣と一緒にやると、ヒューズが飛んじゃうのね。しかし検診車がそんな脆弱な電力しかなくて、検診車を名乗っていいものなのか?とあれやこれや、検診車の構造について、上半身裸で機械に抱きつき考えている姿は滑稽だ。

 

5分ほどしてようやく技師さんが入って来たが、衝撃的な言葉をのたまった。お待たせ致しました。職員を交替します。と言ったのだ。そして、こちらにいた若めの技師さんが隣に、ベテランそうな技師さんが私についた。こちらの技師さんは隣のベテランそうな技師さんが終わるのを待っていたのだ。

 

おや?おや?おや?おや?つーことはだね、2台一緒に検査出来る程の電力がこの検診車に無いのではなく、若めの技師さんの力量では挟み込むことが出来ない程、私のお胸が無いっていう理由が濃厚ですよね?無いは無いでも無い違い。

 

そうだ。ここに入る前に待合室で待っている時もフツーに2つともレントゲン、バシバシ撮ってたわ。それをわざわざ隣の技師さんを待って交替するって事は、私が、あんさんのようなぺーぺーな小童にあちきの大事な豊満な胸を触らせる事なんてできやしねえ!てやんでい!もっとベテランの上の者出してこいや!っていちゃもんつけてるのならともかく、私はそんないちゃもんつけていなくて、静かにそこにたたずみ、機械と抱き合い、「検診車の電力の脆弱さ」っていう研究をおこなっていただけなのに、技師さんがベテランそうな人に交替するという事は、する事は?つまり?

 

私の胸がどえらい事貧乳である、というひとつの揺るぎない事実を突きつけてくれる。

 

そして、やはりそのベテランそうな技師さんは、先の技師さんほど手こずることなく私の貧乳を挟み込んでくれた。

 

そういう事かー!!

 

そっかー!貧乳とは自覚していたが、ベテランしか挟めない程の貧乳、新人泣かせの貧乳であったかー!!貧乳の中の貧乳、貧乳の女王であったのね。

 

血管が細くて、私、採血の時いつも看護師さんを困らせちゃう、って話しはよく聞くし、なんか血管が細いって、繊細な人みたくて自慢げに言えちゃうじゃん?でも繊細な胸、つまり繊細過ぎて存在自体もあるか無きかに、か細い存在であるところの私の貧乳は、自慢げに話すことができない。

 

でも、何も言ってないのにベテランをつけて貰えるなんて、VIP扱いじゃん。というかVIPだわ。こんな扱い下品にブラブラ余分な脂肪を上部に集めている人間には到底して貰えない扱いやぞ。どうだ!羨ましいか!

 

って1人で車の中で叫んだが、いや、羨ましいわ。下品にブラブラ余分な脂肪を上部に集まらせている人が。羨ましいー!!