カラスのおねだり

今の会社の上司がめちゃくちゃ優秀だ。10年前程に中途で入るも優秀過ぎて、3年で海外拠点の専門部署立ち上げの為に海外へ行かされた。その後戻ってきて2年ほど、私の上司として仕事を一緒にしている。

 

まあとにかく良く分からないが優秀だ。とにかく優秀。しかし優秀過ぎる上司の元で1度働いてしまったら、もう凡庸な上司、殊更悪くもない上司でさえ、きっと無能に思えるだろう。優秀である事は罪だな。その点私は何と清廉潔白な無能さを持っているのだろう。聖人として崇めて欲しい。

 

今日はいつもの裏山散歩コースから下りて来ると、柴犬を散歩しているおばちゃんに出会った。1人で山グルっと1周してきたの?バードウォッチング?すごいねえ、怖くない?的な事を話しかけられた。いえ、鳥沢山見れて楽しいです、と応えておいた。

 

確かに夕闇手前の山から人が現れたら、この人怖くないのか?と思われるだろう。家の隣の人にも山に散歩に行ってる、と言ったら怖くないの?!とめちゃくちゃ驚かれた。困ったことに全然怖くない。でも大概の女人は怖いらしい。そりゃ私だって真っ暗な人工の建物なんて怖くて入れない。でも山は別だ。鳥もいるしキツネもイノシシもいるし、私もただ山の中のただの猿の一種だ。怖いも何もうちらは元はこっちで過ごしていたのだから、怖いわけなかろうよ。と思うのだ。

 

それより1人で家にいる方が怖い時がある。人口建物の淀みというか、暗闇は怖い。ちょっと空いた扉の隙間とかもう怖くて仕方ない。人が作ったものは人の気配が強すぎて、何にもなくても誰もいなくても、そこに誰かがいるような気がして怖い。

 

その点山は、ちゃんと人は私しかいない。誰の存在も感じない。あと、人のエネルギーに疲れちゃうタイプの人間なので、人でないエネルギー、植物とか鳥とかのエネルギーを感じてるとホッとする。

 

今日はカラスの子供がかーさんカラスにアーアー餌をねだっている所を見れた。可愛い。ただ、親カラスより大きいんじゃない?ってくらい育ってたけど。私も今の上司が飛び立つ前に、いつまでもあーあ〜甘えてないで、独り立ち出来るようになりたいけども…

 

無理だな。良かった。人間で。カラスは独り立ち出来なかったら死が待っているが、私は独り立ち出来なくても、無能だな、って思われるだけで終わるから、楽であるな。