ひたむきさは切ねえぇ

年末休みを謳歌Netflixでアニメ三昧。それでBANANAFISHというアニメを見かけて、ちょっと見てみましょ、となった。BANANAFISHは私が子供の頃買っていた雑誌で連載していたが、およそ少女向け雑誌に載るようなストーリーではなく、話も難しくてパラパラ読み流す程度だった。

 

大人になってから全巻読んでみようと買ったはいいが、やっぱり話が難しくて暗くて重くて同じように飛び飛びで読むだけであったので、今度こそアニメなら見やすいであろうと見始めたのだ。そしてあらためて、え?こんな話だったかな?と面白さに気がついた。異様にアッシュが英二を愛しているから、私の若い頃の記憶では今のBLの走りだな、的な印象しかなかったが、そんな印象のみでよく漫画を読んでいなかった事を反省した。これは間違いなく名作だな。

 

しかしだ、3日間で最後まで一気に見て、最後の悲しい終わり方に嗚咽するくらい泣いてしまった。なんでだよ〜涙って感じ。

 

でも思い直す訳だ。日出処の天子厩戸皇子のように愛を受け入れられる事無なく孤独のまま生きて行く訳でもなく、ゴッドファーザーのマイケルのように愛をどんどん捨てて孤独になって行く訳でもなく、孤独のまま生きるハズだったアッシュが英二と出会い孤独から脱して救われたのだから、ハッピーエンドと言えなくもない。言えなくもないが…うわーん!!なんでだよ〜!!って叫んじゃう訳だ。

 

全然畑違いで絵本だけど、ごんぎつねを毎回読む時に叫んでしまう気持ちと一緒。あ、あと宮沢賢治のなめとこ山の熊も、何か泣ける。銀河鉄道の夜が好きだったが、なめとこ山の熊を読んで、こりゃ銀河鉄道より好きかもと思ったが、多分地味であまり知られてないかも。ひたむきさって愛そのものだし、ひたむきさは何かせつないねえって思うわけだ。陳腐な男女の恋愛物を見て、なんか切ない〜良かった〜的な事を宣う輩は五万といるが、そういう人達は名作という名作を読んだり見たりしていないのであろう。

 

愛っちゅうもんはこんなに悲しいものなんやで…って男女の惚れた腫れただけが、愛と思ってたら間違いやで…ってBANANAFISHの最後を涙流して鼻水たらしながら見て、年末は更けてゆくなり。