犬と犬と蜂とトンボ

比較的人気の散策コースがある近場の山を登った。下山中に犬を連れている女性を見かけた。いや、犬を連れている人は結構見かけるのだが、その人の連れている犬があまりに美しくて見惚れた。私は、実は犬種として名前のついてる犬よりも、なんとういか雑種が好きなのだ。昔はよく捨て犬がいて、その全てが雑種。でも時は経ち、雑種や野犬の類の子犬は見なくなった。

 

ところがその人の連れている犬は紛うことなき雑種犬。あの懐かしい雑種犬。凛として何とも言えない美しさと可愛さ。人から作られた感がない、自然から生まれた造形のある犬。野性味と精悍さを感じる。

 

人見知りの私は自分から話しかける事など滅多にないが、あまりの犬の可愛さ美しさに、雑種ですか?と声をかけた。女の人がこれまた運動を常におこなっているような、筋肉がバランスよく付いた細身の美人さん。犬と飼い主は似るんだなー。

 

そうです、雑種です。と答えてくれたので、綺麗な犬ですね。と言うとありがとうございます、とお礼を言われた。こちらこそ久しぶりに懐かしい美しさを持った犬を見させてもらえてありがとだ。

 

それからしばらく歩いていると、今度は綺麗な赤毛の色の犬を連れたおじいさんに出会った。これまた可愛い。美しい。美濃柴犬だ。美濃柴犬ですね、と声をかけるとおじいさんが、おう、よーしっとるなあんた。と、ベタベタの岐阜弁で答えてくれる。実家で飼っている事、美濃柴犬の会はもう行ってないことなど話した。おじいさんは、これはオスでまだ1歳でやんちゃなんだわ、と言っていた。確かにヨボヨボのおじいさんを引きずり回すような勢いでぴょんぴょん跳ねて前に進もうとしている。

 

でもおじいさん見た目より力があるのだろう、散歩の綱をギッチリ握って動きを制している。きっと長年そうして犬を飼ってきたんだろうなあ、と感じる腕の強さだ。私だったら引きずられている。

 

それからしばらく歩くと今度はスズメバチパイセンが道路で小枝を加えている。何してるのかじ〜と眺める。多分小枝に何かついてて舐めてるのかなあ?指でチョイって触ろうとしたら、こっちに気がついて片足を上げて威嚇してきた。ごめんちゃい!と言ってそっとしておいた。

 

それからしばらく行くと今度はアキアカネが、手すりに留まっている。スマホを近ずけても逃げないのでいっぱい写真を撮っておいた。2つの複眼がキラキラして美しい。おぬし、目綺麗だな、って声かけたら逃げていった。

 

今日は沢山の可愛いものを見れて満足だ。人見知りがかなり酷いと思うが、その反動で動物には並々ならぬ親しみを感じる。だから生き物にはふつーに話しかけれる。人がいる時は流石に奇異な目で見られたくないので、話しかけないが、わたしゃ1人でいたら大体永遠に何かの生き物に話しかけている。

 

自分でもちょっと引くくらい、何かキモイ奴だ。