カスタマイズ

風が強く吹いているのアニメにどっぷり影響されて、ジョギングの前に自分に「走るの好きか?」と問う。大体毎日100%、好きでもないけどな、と汚れた大人の心で応えが出てくる。しかし文字通り高みを目指す為、来年のお山の為に体力をつけるのである。

 

でも走ってると忘れていた子供の頃の事が色々と思い出される。私の小学校は冬になると登校してから授業が始まるまでの10分か15分の間校庭をグルグル走らされたのだ。嫌だった記憶があるかと思うとそうでも無い。朝の澄んだ空気の中グングン走るのは嫌いでもなかった記憶がある。

 

冬はその他にもマラソン大会もあって、私はクラスの女子で1番になった事があって、その時片思いしていた男の子に、「やるじゃん」と褒めてもらえた事がどえらい事嬉しかった記憶とかも蘇った。

 

なんだ、すっかりすっかり忘れていたけど、私走るの好きだったのかもな。短距離走の方が好きだったけど長距離もいつも一生懸命走っていた。長距離ってある程度みんなダルくてテキトーに走る子もいたのだけど、私は何か走るとなったら走ってしまうのだった。人一倍手先が不器用な上に勉強も出来ないし、そうなると何のコツもいらずに足をただただ前に交互に出すだけの走るという行為は、私には唯一出来る事のような気がしていたのかもしれない。不器用な自分への慰めになっていたのかも。だから出来る事があると嬉しくてそれに夢中になってしまうのは今も変わらない。

 

人より出来る事が少ないから出来ると嬉しい。だから山もハマったのかもな。山は最高だ。足をただただ前に出してるだけで、見た事がない景色を見られる。そこに行くには自分の足が主な移動手段だ。山登ってると自分の体が自分のものじゃなくて、乗り物のような感覚になる。この乗り物がどこへでも自分を綺麗な景色の場所へ運んでくれる。車よりも飛行機よりも自由にどこへでも小回りが効く乗り物。

 

今はその乗り物を高い山行きの為にカスタマイズしているところだ。