やけさんはじめまして

今年の夏は雨続きではないか。週末天気のよろしい時がないので、登ろうと思っていた焼岳に登れていない。これは秋雨前線が落ち着いた頃かな〜と、思っていたら金曜日の天気予報で、日曜日の天気が、カッッッとした太陽のマークになっているではないか。

 

日曜日は次の日の仕事に差し支えるので弾丸日帰り登山は土曜日と決めているのだが、この熱帯雨林気候と化した日本でそんな腑抜けた事を言っていたら一生登山などできぬ。大体仕事なんてゾンビ状態でやってればいいのだ。月曜なんてどのみちゾンビなのだから。

 

という事で、夜中2時に起床、3時前に家を飛び出し快調にビュンビュン車を走らせやって来ました上高地。雨はジャージャー降っているが大丈夫。私が頂上に着くであろう11時にはスッキリと晴れて美しい北アルプスの山々が私を両手広げて待っていてくれるであろう。ぐふふ。

 

しかし頂上が近くなっても雨は止んだがガスガスしている。文字通り雲行きが怪しい。いや、大丈夫だ。私が頂上に着くまであと1時間ある。それまでにはスッキリと晴れて北アルプスの山々が…以下同文。

 

結局思っていたより早く頂上に着いたのだが全方位真っ白け。たまに雲の間から北アルプスが見えて、誰かがあれが槍であれがジャンダルム、と言うてこざる。ほほう。どれか分からぬが私もいつかあそこへたどり着けるだろうか。今の体力と技術では到底無理だが。

 

しかし寒い。慌てて着込み、晴れて来るであろう11時までカップラーメンをすする事にしたが、初めての山頂クッキング、カップラーメンにお湯を注ぎすぎでジャバジャバ溢れるは、お湯が沸騰しきっていないのに入れちゃうわで、寒さにガタガタ震える体を温めるにはぬるすぎるカップラーメンをひたすらすする。でも、美味しい。マジで美味しい。平地の5倍以上美味しく感じる。これが山マジックか。

 

結局11時過ぎまでねばったけど視界はホワイト。諦めて下山後、綺麗に晴れた山頂を涙ながらに眺める。いいの。焼岳はもっと近いルートがあるからまたいつか登る。今日はバッヂ欲しさに山小屋経由したかったから上高地側から来たんだもん。それに初上高地の美しいこと。今日は足が死んで無理だったが、ゆっくり散策したいものだ。

 

バスターミナルに行く間に前の3人組女人の会話が聞こえてきた。東京の人達みたいだ。登山の時聞こえてくるそれぞれの人の会話を聞くのが結構好きだ。自分はその人生を生きていないのだが、会話を聞いていると、あなたの人生を生きてる私もどこかにいるのかも、ってノスタルジぃ〜を感じるのだ。変かな。変かもな。いや、でも旅に出ると場所や人に何かノスタルジぃを感じる人もいると思いそめしか。

無限ループ

この前出張に行った時に、取引先との約束時間までに時間が空いたので、サービスエリアでご飯を食べ、それでも時間が空いたのでみんなで車内でボーっとしていたのだが、その時にふと隣のバンを見ると、運転席で殿方が昼寝をしている。口が半開きなのだが、驚愕した。

 

ものすごく美しい寝顔なのだ。え?え?マジ?口半開きでも美しいってどゆこと?私なんて口しっかり閉じてても、ゾンビなん?生きたゾンビなん?てな寝顔で、オマケにナイアガラの滝並にヨダレを垂らして毎晩寝ているのに、こんな事ってあるぅ??若さなの?それとも元の造形の問題なの?まあ、そのどちらともだろうが、まったく、美しい。

 

惚れ惚れとして凝視していたら、パッチリと目を開けるではないか。瞬時に空に視線を移し、ええ、見てないです、何も。見とれてなんていませんぜ、へへ。と聞こえもしない言い訳をして、スマホに目を落としておいた。

 

美しいといえば、声も年齢に比例して衰えるだろうと思い、少しでも抵抗すべく、ボケ防止も兼ねて夜音読をしようとおもい、宮澤賢治の短編集を夜寝る前に1、2ページ声に出して読んで寝ているのだが、なめとこ山の熊を読んでいたら、涙で声が詰まって読めぬではないか。なんて美しくも哀しい話なのだ。ラストはギャン泣きだ。ごんぎつねもそうだが、動物の絡んでくる何かどうしようもない哀しさのある話は、誠に美しくて泣ける。

 

若い頃より情緒を包み込む絶縁体が不良をきたしている事もあり、むき出しの情緒のおかげで箸が転がっても泣ける性質なのだが、最近などは、山で日の光が葉っぱの間から漏れて黄緑色にキラキラ光ってる景色を見ているだけで、美しさに涙が出てくる。

 

この前などセミが脱皮したばかりで、薄い黄緑がかった乳白色の体と、羽の付け根が少し青緑なのを見て、ほえ〜なんて美しい色だ〜、こんな美しいのに1週間の命かあ、と思っただけで、泣けるという。ほんと、大丈夫?と自分に問いかけちゃう。

 

そういえば祖父の妹である、大叔母さんはそれこそ会う度、〇〇ちゃん、大きくなって、ええ子に育って、兄様も喜んでござるわ、と言って毎回涙ぐんでおり、泣き上戸で親戚内では有名だったが、やはり血は憎めぬというものだ。私も大叔母様に似て泣き上戸なのだろう。

 

そんなで祖父と大叔母様を思い出したら、またもや懐かしさで涙が出てきた。無限ループじゃん。

 

 

 

 

ニホンカモシカのベビー

仕事中に私よりもけしからん事に2日もお盆休みの長い妹からLINEが入った。用水路に落ちたニホンカモシカの子供がまだ脱出できていなかった!と画像と共に送られてきた。

 

というのもお盆に帰った時に昨日用水路に何かいると思ったらニホンカモシカの子供でその内どこかへ行ってしまった、と実家の面々が言うので、それは惜しかった。私も見たかった。出れないようなら私が助けてあげたかった、と言っていた矢先の妹からの連絡だったのだ。

 

ただでさえ休み明けで仕事のやる気はゼロであるところ、ニホンカモシカのベビーが気になって仕事が手につかない。あれから今日まで1週間くらい経っている。飲まず食わずで用水路をさまよっていたらさぞ衰弱しているであろう。可哀想な事をした。お盆に聞いた時に用水路を見に行けば良かった、後悔の念が押し寄せる。

 

そういう事で仕事が終わったやいなや、バビュン!と車を実家へ向けて走らせ、すぐに用水路を見に行く。用水路と行っても幅は8メートルくらい、高さは2メートル以上ある。長雨で増水していたら助けるのも至難の技だが、幸いなことに1メートルくらいしか水はない。すぐにベビーを見つけれたのでドボンと飛び込み近付くも、そこは野生、必死に逃げる。下流の方へ逃げるので、このまま下流に逃げられると川まで流れて行ってしまう。ということで車でもう少し下流に先に回り込み、そこから用水路に入って上流に向かって追いかけて行けば上流の水の少ない所で捕まえられるだろうと、追い始めた。追い始めてすぐに逃げるスピードが遅くなりあっさり捕まえてしまった。

 

すごく軽い。可哀想に大分衰弱している。抱きかかえて、実家に歩いて向かう途中何度かバタバタ暴れるが、力はない。見たところまだ乳離れしていない大きさだ。草は少し食べていたようだから、このまま親に会えなくとも自活できると良いのだけれど。よく頑張ったね、と話しかけるが、果たして山で生き残れるか。あとはベビーの生命力にかけるしかあるまい。

 

山で離すとてってっと走って行って、1回こっちを振り向いた。可愛い。バイバイ、っと手を振ったが、あの小ささ、生き残れるか不安でしかない。でも自然の生き物だから自然にかえすしかないよな〜

 

全身びしょ濡れになって家に帰ったが、もう少し早く助けてあげれば良かった、と涙がちょ漏れたわ。いや、大丈夫。自然の生き物は私が思う以上に逞しいものだからな。少なくとも私のメンタルよりは。

 

 

貧血の頭で銀河を巡る

昨日は秒で断る会社の女人メンバーとのランチに、肉食いたさに負けて参加したのであった。隣の課のスギさんも来ていたので初めてしっかり話したが面白い人だ。

 

霊感体質とやらで、お盆には霊道が見えるそうな。私はまったく霊とか信じないタイプなので、霊が見えるという人は脳に腫瘍が出来ているか、そう思い込んでいるか、承認要求の塊で注目浴び目的か、のどれかと思っている。スギさんはそう思い込んでいるタイプとみえる。それなら楽しく話せそうだ。

 

他人はそう思っていない出来事を本人がそう思い込んでいる事など、私も含め沢山あるからな。こっちに害のない思い込みなら、面白く話を聞けるというものだ。ま、全然しんじてないんだけど。幽霊とやらは。

 

それで、昨日お肉を食べたから良いと思っていたが、今日貧血でフラフラである。女人というものは何故に1ヶ月に1回、殿方がみたら卒倒しそうな血を流さなければならない生き物なのであろうか。夏になって食欲の無さから食べたいものを好きに食べる生活をしていたので、血を作る食べ物の摂取が滞っていたせいもあるだろう。今日は1日中頭が重く、眠く、フラフラするし、顔も真っ青。久しぶりに酷い貧血である。

 

いつもの裏山散歩も行けずにグタグタとテレビを見ている。最近廻るピングドラムという10年前のアニメをぼんやりとしか見ていなかったと思って見なおして、やっぱり意味は分からぬが銀河鉄道の夜も関係しているということで、そこからまた銀河鉄道の夜を読んだ。

 

あらためて読むとジョバンニもめんどくさいヤツだな〜情緒不安定か、とツッコミまくる。が、私もジョバンニめげず情緒不安定だ。でも銀河鉄道の夜は好きなお話だ。死んだらあの鉄道に乗れるのだったら死も怖くはないと思えるだろう。それを確約してくれるモノがないので死が怖いのだが。霊道が見えるスギさんなら、お迎えに来る銀河鉄道も見えるのだろうか。私も天の河をグルグルと旅してみたいばい。今は貧血で頭がグルグルしているがな。

 

 

なけなしの女子力

お世話になったブルーさんが異動になって県外に行く事になった。大変優秀であるのでもっと合う部署に行けばいいのに、と思っていたので、彼女の為にも良かったとは思うが何年も一緒に仕事して来たし、ついつい頼れる存在なので甘えていた分、寂しい限りである。

 

しかし優秀な完璧主義の人というのはどーも人を育てるのに向いてない節がある。自分の求める完璧さを他人にも求めてしまうので、それに達していないと気になって自分でやってしまうのだろう。案の定ブルーさんの仕事を引き継くウィンさんは、パンク寸前になっている。常日頃から少しはウィンさんに振って任せておけば、ウィンさんも困らずに済んだであろうに。楽なのでブルーさんに任せ切りにしていたウィンさんもウィンさんだな。今頃ツケを払わされている。

 

来週はブルーさんが異動の挨拶に来るので、何か贈り物を、と思ったがさて困った。ブルーさんは私と違って真っ当な30代女子である。化粧品とか髪のケアとかそういうものが良いのだろうか。わたしゃそういうものに一切興味がないので、困り果てる。でもなけなしの女子力にムチ打って、無理矢理そういうのに興味のある女子を作り上げ、その人と一緒に買い物に行く事にした。こ、これでいいと思いませんかね、へへ。と私が聞くと、え〜、困る〜、こんなの量が多すぎでお肌に合わなかった時にゴミの量が多くなる〜ってワガママ言いやがる。

 

じゃあ、このヘアオイル、どうですかね、お値段も私じゃ絶対買わないそこそこのお値段ですぜ、と聞くと、うっそ!笑える!フツーの女子はこれ以上の値段のヘアオイルざらに使ってるよ!こんなの建付けの悪い襖のサンにクレ55の代わりに塗っちゃいたい!とまたまた仰る。というか偽の女子との会話に疲れてきた。大体襖のサンとか、クレ55とか今どきの女子が言うかいな。そもそもブルーさんだってそこまで今どき女子の雰囲気を醸し出している訳では無い。でもいつも小綺麗にしているし、髪の毛はパーマをかけているし、髪の傷みとは無縁でもあるまい。との予想で、少し高め(当社比)のちっちゃめのヘアオイルを買っておいた。これならもし好きでもない匂いだったりしてもすぐポイできる大きさだしな。

 

とりあえず、慣れない土地で仕事も大変だが元気でやってくれると良い。でも少し羨ましくもある。どっかに行きたいな、って気持ちはいつもあって、そこがどこだか分からないけど私も早くどっかに行きたいな〜と思っちゃうからな。まあ、登山し始めたらだいぶその気持ちも和らいだけど。

 

 

毒舌くん

仕事中に毒舌くんが私のところに来て、このやり方間違ってるがな、と言ってきた。うむ。実は私もそう思ってはいるが、そのやり方でやるように決まっているものを、金額も少ないしそのままにしておるのじゃよ、と伝えた。何とかしないといけないな。うちの課で考えてまた連絡する、とさっそうと去って行った。

 

毒舌くんはあだ名の通り毒舌なので、嫌われる人には嫌われるし、煙たがられる存在だ。毒舌という事は他人がまあ、いいよね、とうやむやにしてる事や本人が取り繕っているところをズバっと指摘すると言う事だ。私は父や妹、特に妹が苛烈な毒舌を持っているので毒舌には慣れている。むしろ毒舌の人は人をよく観察し、人が自分だけに重きを置く行為に非常に敏感で、他人のそういう部分に我慢がならず、鋭い言葉の刃物を投げかけてしまいがちなのだ。

 

それで彼が私にたまに毒舌の限りを尽くして他人の話しを聞かせに来る事がある。私はハイハイ、と笑って頷いて聞いてあげてるだけだが、内心物凄く感心している。彼が私に話しに来る人は、私も内心、おいおい、他人にそれを押し付けて平気か?おいおい、自分の仕事なんだから責任持てよ!と心の中でツッコミまくってる人ばかりなのだ。よく観察している。だから彼は敵も作りやすいが、誰もが言って欲しい事をズバッと言ってくれるだけあって一部には信頼も得やすい。私もその一部の中にいて、彼の事は嫌いになれない。

 

もちろん私にもズバッと毒舌で仕事の内容で指摘してくる事もあるが、私は言い訳はせずに現状をそのまま伝える。そうすると大体色々考えて問題を解決してくれるのだ。

 

毒舌くんが、私は人見知りだから、取引先と面会する時はいつもカチーンと固まってただ係長の横で地蔵になってると話したら、それはこの課の仕事するには向いてないんじゃないの?とズバッと言うので、うん。私もそう思う。ダメだよね。何とかやってるけど、と言うと、毒舌くん笑いながら、大丈夫そこの点は。ここに1人もこの課に向いてる奴なんていないから!と仰る。毒舌であるがその言葉は私を安心させてくれたりもする。うむ。特別私が向いてない訳ではなく、みんな向いてない人ばかりなのだ。じゃ、安心だな。

 

しかし彼には彼の為にも毒舌を吐く相手を是非私くらいにして、もう少し他人には丸くなって欲しいものよ。

 

 

ワイマラナーとの邂逅

姉妹でアウトレットパークへ買い物に行った。大体待ち合わせ場所と時間を決めて、各自買い物に散るのだが、私は犬が好きなので犬連れの人についつい目が行くし、目的地に向かってます、風を装って犬をストーカー紛いにつけていたりする。買い物が進まない。

 

大体は小型犬をみなさん連れていらっしゃるが、私は大型犬が大好物なのである。大型犬はおらぬな、と思っていた矢先ワイマラナーを連れた家族連れに出くわした。おお!大型犬な上にワイマラナーとはなかなかお目に見えぬ。いつぞや登山中に出会った事はあるが、それぶりのワイマラナー。目が離せぬし、許されるなら触りたいが、ワイマラナーは神経質と聞く。可哀想だから眺めるだけにしよう。 

 

2時間くらいあちこちの店を回ったが、ワイマラナーには目がいくので、あ、また会った。ラッキー。あ、また会ったラッキー。と思い買い物をしていた。というか登山グッズを買おうとしたが、モンベルやミレーやノースフェイスとかあたりで良く会うのだ。わたしゃ登山グッズもうまく揃えれないし、貧乏性が板についてるので、大概眺めるだけ、買ってもモンベルのものくらいしか買えぬが、ワイマラナーの飼い主のおじ様はミレーで買い物をしている。わたしゃ眺めるだけのグッズを買えるとは、ワイマラナーを飼ってるだけある。うむ。金持ちだ。

 

というか、すんごい偶然も偶然だか、この家族いつぞや登山の時に出会ったあの家族連れだ!間違いない。あの時のワイマラナーはメスだったが、今回の子もメスだし、連れてる家族もいつぞや会った時の家族構成、夫婦と娘さん、その年齢帯も一緒だ。他県のアウトレットパークで会うとは。まあ、この地方でデカいアウトレットパークと行ったらここに来るから、会っても不思議はないか。

 

帰る時間帯も一緒になったので、駐車場に向かう途中もワイマラナーを見れた。じっくり眺めておいた。またどこかのお山で会えるかな。

 

というか、今日は買い物に来たと言うよりワイマラナーとその家族をほとんどストーキングしてるようなものだった。私、背がデカくなきゃ探偵とかして尾行するのに向いていたかもしれぬ。