ニホンカモシカのベビー

仕事中に私よりもけしからん事に2日もお盆休みの長い妹からLINEが入った。用水路に落ちたニホンカモシカの子供がまだ脱出できていなかった!と画像と共に送られてきた。

 

というのもお盆に帰った時に昨日用水路に何かいると思ったらニホンカモシカの子供でその内どこかへ行ってしまった、と実家の面々が言うので、それは惜しかった。私も見たかった。出れないようなら私が助けてあげたかった、と言っていた矢先の妹からの連絡だったのだ。

 

ただでさえ休み明けで仕事のやる気はゼロであるところ、ニホンカモシカのベビーが気になって仕事が手につかない。あれから今日まで1週間くらい経っている。飲まず食わずで用水路をさまよっていたらさぞ衰弱しているであろう。可哀想な事をした。お盆に聞いた時に用水路を見に行けば良かった、後悔の念が押し寄せる。

 

そういう事で仕事が終わったやいなや、バビュン!と車を実家へ向けて走らせ、すぐに用水路を見に行く。用水路と行っても幅は8メートルくらい、高さは2メートル以上ある。長雨で増水していたら助けるのも至難の技だが、幸いなことに1メートルくらいしか水はない。すぐにベビーを見つけれたのでドボンと飛び込み近付くも、そこは野生、必死に逃げる。下流の方へ逃げるので、このまま下流に逃げられると川まで流れて行ってしまう。ということで車でもう少し下流に先に回り込み、そこから用水路に入って上流に向かって追いかけて行けば上流の水の少ない所で捕まえられるだろうと、追い始めた。追い始めてすぐに逃げるスピードが遅くなりあっさり捕まえてしまった。

 

すごく軽い。可哀想に大分衰弱している。抱きかかえて、実家に歩いて向かう途中何度かバタバタ暴れるが、力はない。見たところまだ乳離れしていない大きさだ。草は少し食べていたようだから、このまま親に会えなくとも自活できると良いのだけれど。よく頑張ったね、と話しかけるが、果たして山で生き残れるか。あとはベビーの生命力にかけるしかあるまい。

 

山で離すとてってっと走って行って、1回こっちを振り向いた。可愛い。バイバイ、っと手を振ったが、あの小ささ、生き残れるか不安でしかない。でも自然の生き物だから自然にかえすしかないよな〜

 

全身びしょ濡れになって家に帰ったが、もう少し早く助けてあげれば良かった、と涙がちょ漏れたわ。いや、大丈夫。自然の生き物は私が思う以上に逞しいものだからな。少なくとも私のメンタルよりは。