バリウム、海へ行く

健康診断で朝が潰れたので登山は諦めたが、さっさっと終わらせて博物館の企画展に向かう。健康診断では今年もバリウム飲んで右回れ左手下ろせとか次々に司令が出されるので混乱し、それは右手です、と冷たく言われる。あの狭い白い空間に声だけ響かせられると宇宙人に捕まった実験体のような気分になるので思っている以上に冷たく感じるのかも。まあ、私の物分りの悪さにマジギレしている確率も501パーセントくらいあるけど。司令官コワイ。優しくてして、という気持ちで髪振り乱してクルクル回っておいた。

 

マンモグラフィでは私のほとんど盛り上がりのない上半身、なんてたって肋が浮いているくらいなので機械に挟むのも一苦労だろうに、これでもかとみょんみょん伸ばして挟んでくれたが、痛すぎる。胸の無さに反比例してお腹から下に行くほど盛り上がりを見せるのは、重力のせいだな。

 

企画展は古墳で、じっくりゆっくり見る。博物館はじっとり見たいタイプなのだが、じっとり見すぎてエネルギーを使う。そうこうしているうちにバリウムを排出する為の下剤が効き始めて、慌ててトイレに駆け込む。そしてまた展示物を見る、ということを繰り返す。忙しい。というか下剤飲んだのに外出してる時点でハイリスクな選択だったと理解する。なんせ見ている時に小さなガスが下半身から漏れてしまったのだが、後ろに人がいたのだ。社会的に消えたくなったが小さい音であったので、靴と床が擦れる音と思ってくれ、とその後怪しい動きでわざとらしく靴を鳴らしておいた。いや、バレてるだろうけど無駄な努力と分かっていてもそれでもやらずにおられない健気さに涙を禁じ得ない。

 

バリウムを海に還す活動が一段落ついた所で無料の温かいお茶を飲む。温かいお茶、ありがたすぎる。お腹が温まる。

 

その後は近くの風情のある街並みを歩く。こんな所にこんな観光地ぽい、でも雰囲気の良いところがあったのに、訪れたのは初めてだ。お高い団扇を雰囲気に飲まれて買って、隣の店でも素敵な手拭いを買って、本当は今日は博物館の後、夏山に早目に登りたくて軽アイゼンを買いに行こうと思っていたのだが、出費がかさんだので、来月に持ち越す事にした。というか、バリウム海へリリース活動がまた開始されては困るのでおとなしく帰路に着く。

 

休日は山ばかりというのも何か勿体無いな、と今日の企画展と街歩きをして思う。わりと近くにこのように興味をそそられる物があるのであるからな。早速家に帰って裏山にある古墳を見に行く。ふむふむ、これは円墳だったのかな?竪穴式?横穴式?なんて今日の企画展で覚えた言葉を使ってみながらウロウロして満足する。というかバリウムリリース活動が来ると怖いから家に帰ったのに、また裏山に行ったらあかんやないかーい!と自分につっこむ。なんせまたお腹痛くなってきたからな。慌てて山から家に帰る。何度も同じ事繰り返して痛い目に合う、って性格どうにかしないとな。