変わった子の今

幼き頃の私は変わった子であったそうだ。とにかく生き物を捕まえくるのが好きで、いつも何かしら採っていた。それも採るとなったら採りまくるので、カゴいっぱいの蝶々、水槽いっぱいのサワガニ、プラケースいっぱいのカタツムリ。そして残念な事に世話をする事には興味がないので、大量死を招いていた。ある時期を過ぎると可哀想になって採っても逃がすようになった。 

 

そして歳を経て、いや経りまくって今は採らずにただひたすら眺めるだけとなった。観察するのは楽しい。彼らは私に見られているのに気が付く時もあれば全然気が付いていなくてせわしなく彼らの世界でわさわさしている時もある。この前はヘリコプターかよ!と思わずつっこむくらいのデカいオオスズメバチと山の中で出くわした。1匹だけでエサを探して飛んでいて、こちらに来てグルッと私の周りをまわってから興味無さそうに遠くへ飛んでいった。近くに来たのでジッと眺めたが、あまりのデカさに圧倒された。日常見慣れているアシナガバチとかキイロスズメバチとかとは比べ物にならぬ。とりあえず襲わないでね、と拝んでおいた。

 

ドラマとかではよくデキル変人が主人公で色々活躍したりするものだが、残念ながら私は変わった幼子から、何の取り柄もない色々不器用な変人になっただけであった。とうとうこの歳まで女の子、もしくは女の人が興味を持つような事、化粧とかおしゃれとかカッコイイ俳優とかアイドルに一切ハマれずに来てしまった。

 

女の人達との会話はめちゃくちゃ興味ありそうに楽しそうに話したり聞いたりしているが、その実1mmも興味ないので、心の中では別の私が、あくびして今にも寝そうにウトウトしている。

 

今、アメリカのドラマデクスターにハマっているが、デクスターの気持ちがよく分かる。あっちはサイコパスの殺人者だが、フツーを装っている。私もフツーの女の人を装うが、妹曰く全然私は立派に変人に見える事から、あまり装えていないみたいだ。私が1人でいたいのは装えていないのに、頑張って装おおうとして疲れてしまうからなのだろうな。別に装おう必要も無いとは思うけど装わなかったら、フツーに早口で虫とか鳥とかアニメとか宇宙とか、それこそ周囲の誰も興味のない話をまくし立てて話してしまうだろうから、それはあまりにも周囲が可哀想だからやめておこう。

 

というかこっちはこんなに気を使って興味ない話を聞かせないようにしてるのに、あちらは興味あるに決まってる体で話してくるなんてなんか不公平。けしからん。私が気兼ねなく話しかけられるのは裏山の生き物達ぐらいだぞ。まあ、裏山の住人達も興味無さそうなのは同じだけどな。