幼き頃の私と共に

先週末古墳の企画展を見に行き、並々ならぬ古墳への好奇心が湧き上がってきた。いつもの裏山散歩上に、これ、ほんま人来るんかいな、という寂れた古墳の資料館みたいなのがあって、無料でほとんど年中無休で開いている。そこの前を通る時に、ああ、わちきもこの人の来ない静かな資料館で資料館を開け閉めするだけの仕事してたい、と羨望の眼差しで資料館で働く人を想像していたのだが、ついにほんま人来るんかいな、のほんまになろうと散歩がてら寄る事にした。

 

勝手に入っていいようで、受付のおじ様はこちらをチラッと見て頷くだけだったので、そのまま展示室に入る。私の羨望の君は、おじ様であり、なおかつ想像していた資料館開け閉め仕事以外も仕事があるのだろうか、作業着姿で机に向かってなにやら一生懸命書き物をしているようだ。しかし私の羨望は何ら揺るがない。私が欲しいのは私以外誰もいない仕事場、自然の中の静かな環境、そして興味をそそられる展示物、最高である。

 

展示物を見て古墳熱が、高熱の域に達してきていても立ってもいられなくなり、パンフレットをかき集め、屋外の古墳も見に行き、それでは物足りなくなり、家に飛んで帰り、ネットで近くの古墳を検索し、車を走らせ見に行く。前日に6時間ほど山を歩き続けたので、体力は既に尽きているのに、興味が尽きないので仕方がない。ヨレヨレの体で古墳の周りを歩く。すごく美しい前方後円墳で、オマケに造り出しという祭司を行う場所がハッキリと左右に付いている。うひょーー!!古墳にコーフン。なんて美しいのじゃ。こんな古墳が車で10分の所にあったとは。

 

あまりに興奮しすぎて、近くで何か採取しているお兄さんに、何取ってんるですか〜♪と絶対いつもなら話しかけないのに、ニコニコ話しかける。クワガタだというので、コクワガタを見せてもらった。メスだったので、どうやってコクワガタとか分かるんですか?と聞いたら、この時期に出てくるのは大体コクワガタだから、と教えてくれた。へぇ〜よく知ってる。良い趣味ですねと言ったら、子供も好きなので、とめちゃくちゃ良いパパ。惚れる。お邪魔しました、とその場を離れて今度は古墳の反対側で会った柴犬散歩少女達にも、めちゃくちゃフレンドリーにこんにちわ〜、柴犬可愛い!!と話しかけてしまった。完全に古墳にコーフンしていて、人見知りである自分が古墳時代に飛んで行ってしまったようだ。まあ、すぐ戻ってくるだろうが。

 

ひひひ。明日は実は休みを取っている。車で40分ほどかかるがそこには県内最大の古墳があるし、化石館も近くにある。リュックをしょって散策がてら古墳と化石を見に行くのじゃあ。それからここら辺りで古墳時代に勢力のあった一族を調べた本も取り寄せておいた。以前なら中古で買うのだが、そういう事を研究している人達に投げ銭したいので最近は新刊で購入している。

 

私が子供の頃、興味のある事は沢山あったけど、その経験を買わせて貰えるほどうちは裕福ではなかった。子供が5人もいたし、家が普通のサラリーマンでは無かったから。それでも父母はたまに頑張って田舎から、都市部の博物館とか連れてってくれたなあ。ありがとうパピーマミー。今はお金と時間と体力を手に入れた。無双したので、せっせっと幼き頃の私と共に手を繋いで、興味あるものに会いに行くのだ。