懐かしき黒髪

久しぶりに美容院に行って、伸びに伸びた髪を切ってもらった。カラーも勧められたが、時間がないから今日はいいです、と断っておいた。

 

高校を卒業し就職してすぐに、ピアスの穴を開けて、髪を染めた。それからずっと髪は明るさは変えても茶色にカラーリングし続けていたが、最近そんなに多くはないしまだ気になる程では無いが、白髪の存在を認めるようになった。このままやがて白髪染めをしなければならないほど、白髪が増えていくかもしれない。

 

そう思ったら18歳の時にお別れしたきりの自分の黒髪というものを見てみたくなった。それで白髪が本格的に出てくるまで、染めるのをやめようと思ったのだ。髪を切った事もあって5分の3くらいは黒髪に戻った。このまま行けば後数ヶ月もしたら全部黒髪に戻るだろう。そしたらあれからめちゃくちゃ時は経ったが、18歳以前の黒い髪よこんにちわ。つまりもはや18歳。若返り〜(飛躍〜飛躍〜)

 

18歳かあ。学校を卒業して初めて社会がこんなにも自由なのだと知った。そして18歳のあの時よりもっともっと心は段々自由を感じるようになった。つまり人の目や、他人が気にならなくなった。自分がどうしたいか。他人に迷惑をかけない(と思っているがかけているかもしれない)範囲で自分がやりたい事をやれるようになった。

 

だからスーパーの駐車場の電線の上に見かけない鳥を見れば、カバンの中からスチャっと携帯の双眼鏡を出して、覗いて、あ〜セキレイさんか〜とかデカい独り言を言っちゃえるようになった。双眼鏡を外して前を見たら、ポカンと私の方を見ている人がいたので、何か変なものでも見たのだろうかと思ったが、買物してて、あ、もしかしてさっきの人は私の一連の行動と独り言が変な人に見えたのかもしれない、と後からしか気がつけないくらい、人の目が気にならなくなった。歳を経る事は心が自由になって、身体が不自由になっていく事かもな。

 

私もいつまで黒髪でいられるかな。懐かしい黒髪。早く大人になって染めたいと思っていた黒髪。真っ黒でいられる時間があまり無さそうになった今は、逆に惜しく感じるものよ。