傾国の方法

私が真っ赤な情熱色したソファを妹から譲り受けてはや幾年、すっかり肌着色になっても後生大事に愛用しているのを、遂に見兼ねた兄と妹が、うちに1つ余っているから持っていくのっし!と1度は断ったのに、半分無理矢理呼び出され、見に行ったところをこれ幸いと、車の後ろに詰め込まれた。

 

という事で、とうとうお古の新しい?ソファを手に入れた。もとは兄が知り合いからもらい受けたもので、大分質のよろしいソファである。私が新しいソファを買うとしてもこのレベルのソファを買うことはまずないだろう、というソファ。来て1日ですっかり虜になってしまった。今まで愛用していたかつて情熱の赤だった今は肌着色のソファを外に蹴りだし(ひどい)、おお、待っていたんだよ、君を。君みたいな人に出会ったのは初めてだって、年老いてからやってきた若い側室を持った殿様みたいな言葉をソファにかけて、なんと気持ちの移り変わりの早いことよ、新しいお古のソファにべったり寝そべる。しゅごい居心地いい。

 

私は家にいる間、脊椎動物から軟体動物に変化するので、ソファの上でタコのようにダレ〜と溶けている。タコになるのに最適のソファ。文字通り骨抜きにされている。

 

これにコタツが組み合わされると、もう2度と立ち上がれなくなるんじゃないかと危惧する。

 

やはり国を傾国させるにはコタツと包容力のあるソファの力があれば事足りる。傾国させたい国があれば、とりあえずコタツとソファを大量に輸入させれば良いのだ。それで民はみな腑抜けになるのだ。うむり。