顔だけで選んだ人生

お盆は実家で焼肉パーティーをしたが、数年ぶりに関東から叔父夫婦が来た。叔母はステージ4の癌であるが抗がん剤治療が酷く辛く、治療を止める選択肢を取った。けれども顔色は良いし、明るいし恐らく色々吹っ切れているのだろう。

 

叔母は完全に顔だけで男を選んでしまった女人の典型かもしれない。叔父は若かりし頃はイケメンで目立つ存在であったが、酒飲み、人の下で働けない、浮気性、と天は二物も三物も与えたもうたか、悪い癖を、という人物であったので、見事に闇金に金を借りて夜逃げするハメになった。

 

うちの父はヤクザを相手にして動ぜず、弟の借金を返し、20年後に再開した時も弟に恨み言1つ言わず、泣いて喜んでおった。実のところ叔父様は養子で、父との血の繋がりは全くないのに、感心する。私だったら二度と顔など見たくないと思うがな。

 

叔母も散々苦労したのに結局最後まで叔父と添い遂げるとは、余程の物好きか、と思うが惚れた弱みというものであろうか。たしかに、私もオダギリジョーがどんなクズであっても甘い言葉を囁かれたら地の果てまでも付いていくかもしれぬが、如何せん飽き性なので流石のオダギリジョーでもクズだったら粗大ゴミに出してしまうだろう。ごめんね、オダギリジョー

 

イケメンといえば、母の父もイケメンで頭も良い人であったので、モテたらしく妻子を捨てて新しい女の元へ去った事もあり、うちの母はイケメンに対する偏見がすごい。イケメンは浮気すると思っている。小さな頃から顔の良い男はろくな人間では無いと私達に言い聞かせておった。そのおかげかついぞイケメンと付き合う事もなくイケメンにお近付きかになる事も無い人生を送れている。

 

叔父が以前より気が利くようになっていて驚く。その姿を見て、最近動くようになったね、と嬉しそうに笑う叔母を見ると、全然ダメ男にとことん付いていく人生を全く理解出来ないんだけど、ここまで人を好きになれるんだな人って、と不思議な気持ちになる。特に私のように人間関係全般に執着しない人間からは想像もできない。

 

焼き肉は食べすぎた。叔母が元気に少しでも長く過ごせるよう祈る。