山の妖精に出会う

週末には大体登山をする事を心がけているが、お気にのお山におクマがお出になりにけり、あなや。なので、この前は家の裏山を登った。裏山は誰が整備しているのか、大変綺麗に整備されている。

 

いつぞや頂上で山の反対側の集落の住人に出会ったが、その集落の人達30人くらいで、集落側の山の登山道を整備していると言っていた。そしてこちら側の登山道を整備しているのは、もう20年以上1人でおじいさんがやっているらしいという情報も教えてくれた。

 

へえ。奇特な人もいるものだ。1人で黙々と淡々と誰が登るか登っていないかのマイナーな小山の登山道を整備するって、なかなかのお人。尊敬に値する。趣味として最高な趣味じゃん。と思っていた。

 

そしてとうとう出会った。その最高の趣味をおこなっておられるおじいさんに。裏山を登っていたら、新しい道が出来ていたのでテクテク下っていたら、枝切り鋏が落ちている。おや?と拾おうとしたら、おじいさんがノコギリで杉の木を切っておられたのが目に入った。向こうもこちらに気がついた。

 

あんたどこから登って来たか?あっちか?と声をかけられる。あっちでなくてこっちです。と応える。おじいさんは聞いてもいないのに、話し出した。

 

役所もいい加減な事言うからな。山の持ち主を教える事はできないが、登山道の整備はどうぞ自由にしてくださいって、人の山なのにそれでこうして整備してるんや。綺麗な登山道いっぱい作ったからみんなに教えて、おじいさんおばあさんは危ないから何かあったら困るから2人以上で登るように伝えてくれ、と何故か宣伝を委託された。素直に、はい。伝えておきます。と言っておいたが、あいにく友達が少ないので1人で小山を登って鳥の生活を双眼鏡でストーカーしているのである。伝える誰かが私にはおらぬ。

 

おじいさんと分かれたあと、しみじみと感じた。うむ。楽しそうだった。おじいさんの言うところであると、いい加減な事をいうお役所的には人の山も勝手に登山道を整備してよい事になる。わたくしもそのうちおじいさんのようになりそうだ。おじいさん嬉しそうに、このな、立派な杉の木がよく見えるように今この小さい杉の木を切っとるんやわ、といいながら、メキメキバキバキ木を倒しておられた。

 

うむ。思い起こすに楽しそうだった。わたくしも時間があったら是非山でメキメキバキバキやらかしたい。

 

とりあえず、山を勝手に綺麗に整備してくれる謎の妖精の正体が、趣味ここに極まれりのおじいさんだったと判明して良かったばいね。