空を飛べなくなった

嫌な事があった時は山へ登るに限る。嫌な事無くても登っているけど。登山とウォーキングを始めて1年くらいになるが、明らかに疲れにくくなった。あと、昼寝が減った。以前は疲れやすくて布団に潜ってそのまま昼寝してしまう事が多かったが、今はほとんど昼寝無しで夜まで体力がもつようになった。

 

今日はそこそこ人の多い山に登ったが、コロちゃん第3波の影響だろうか、人はいつもより少なかった。その代わり挨拶しても挨拶を返してこないひとが多かった。多分私の挨拶が聞こえなかったのだろう、と思う事にしている。中には本当に耳の不自由な人がいるかもしれない。

 

耳が不自由といえば、たまにテレビをボーっと見ていると、わたしがNHKを見る頻度が高いせいもあるが、手話ニュースを見る時がある。その手話ニュースの男の人は、もう随分10年以上同じ人じゃないかと思うのだが、めちゃくちゃ表情豊かな上に、手話がキレっキレっで、思わず見とれてしまうのだ。

 

手話の上手い下手はよく分からないが、間違いなくこの人は上手いんじゃないかと手話ド素人のクセに思うわけだ。でも、話し方でも上手い人下手な人っているから、手話にも上手い下手があるだろう。それにしても見ていて気持ちいいので、たまに手話ニュースを見かけると、これ幸いとその男の人の手の動きを無心に目で追ってしまうのだ。

 

頂上につくと空気が澄んでいるので、雪を被った高山をぐる〜っと遠くに眺める事が出来る。いつも思うがついつい手を広げて飛び降りたくなる衝動が出てくる。飛べるんじゃないかと思えるし、飛びたくなるのだ。鳥って凄いよな。この世の生物で1番進化した動物は間違いなく鳥だ。頭の善し悪し知能の有る無しじゃない。海から出て陸でまだ這いつくばってる生き物を後目に空に進出したんだぞ。

 

子供の頃はよく空を飛ぶ夢を見たけど、大人になったら全く見なくなった。空を飛ぶ爽快感を夢の中だけでも味わえた子供の頃が羨ましい。今は夢の中でさえ飛べなくなった。

 

だから山を登るのかもしれない。山の頂上から見る下界は、空を飛んでいる時に見る景色そのものだからな。誰も人が居なかったら間違いなく、タイタニックなみに両手を広げてる。後ろから支えてくれるイケメンがいなくとも。