山城、諸行無常

最近登った山が立て続けに山城の遺構がある山だった。遺構の説明書きがあって一応読みはするが、あまり、というか全然歴史に詳しくないので、へえ、石垣の後、へえ、へえ、と言ってるだけだ。曲輪というのが何度も目に付く。以前は字面からして、曲がり角の事かって勝手に解釈していたが、全然違った。目的を持ってつくられた、えーと、今で言う造成地みたいなものか。

 

しみじみ思うのは戦国時代なんて所詮500年も前ではない。(よね?)のに、山に防御の為のあれやこれやを張り巡らせて城を築くという事はそれだけ戦いが多かったって事だよな。たった500年弱くらいの前なのに。そう考えると、先人達が築きあげてくれた平和な今に乾杯。ゆーて、第二次世界大戦も100年も前ではないけど。いつまた戦争が起こってもおかしくないのかもしれないな。では束の間の平和な時代に生まれる事ができて超絶ラッキー。

 

頂上で緑茶と梅干しでキメてから下山していると、コンコンと木をつつく音がするのでコゲラかと思い見てみると、なんと初めて見るアオゲラだった。新しい鳥ゲットだぜ!ま、写真撮るのは技術もブツ(カメラ)もないのでとうに諦めて、自分の頭の中の図鑑に収集、登録完了ーってしてるだけだが、でも初めて見る鳥はやはり嬉しい。

 

薄黄緑の羽にながーいクチバシ。ギョロっとしたお目目。可愛過ぎて双眼鏡を覗きながらヨダレが垂れそうだ。そうこうしていると、後ろから曲輪の遺構を見に来た、中学生くらいの孫とおじいちゃんがやって来た。おじいちゃんが遺構の説明を孫にしている。

 

…いい。とってもいい。祖父と孫、山城とかに興味ある同じ趣味なのだろうか。それとも祖父の趣味に付き合う孫か、孫の趣味に付き合う祖父か、どちらでも良いがとてもいい情景だ。私も亡くなった祖母を思い出す。一緒にお風呂に沢山入って笑って話した記憶を思い出す。ちょっと涙がちょもれそう。私のその記憶も、このおじいさんと孫のこの山に登った記憶も、いつかこの山城の遺構のように、いやそれよりも誰にもどこにも目につかず跡形もなく消えゆくものなんだなあ。

 

諸行無常の響きあり、だな。だからその日が来るまでは、沢山の記憶を留めておきたいものよ。