マウスtoマウス

実家は山奥の山裾にあり、山から山水を引いて使っている。野生動物が増えたし山水を使うのは控えようと、訳の分からない理由で最近は水道水ばかり使うが、それでもまだまだお金のかからない山水を重宝している。

 

しかしこの山水、山から管で引いているだけなので、ちょっとした雨ですぐに接続部が外れたり、落ち葉などが詰まったりする。そのたびに実家の父上か兄上が詰まりを解消しに山に行き、手入れをするという事が必要だ。

 

この前も水の出が悪くなったらしく父上が見に行くと、途中から詰まっている。そこの部分の管を抜き中を覗いても暗くて何が詰まっているのか分からない。父上は奮闘して管を吹いてみたり吸ってみたりしたけど、家に戻ってきても結局水が出てこない。ということで次の日兄上が行き管をブンブン振り回したら中の詰まりがあっさり取れたのだが、父上が、そうか、それで何が詰まっていた?と聞くと、ネズミが詰まっていたとの事。

 

前日に散々管を咥えて吸ったり吐いたりしていた父上は、思わず気持ち悪くなった。ここら辺りはドブネズミはいないが、カヤネズミとかコメネズミとかいう小さい可愛らしいネズミがでるのだが、それがどうやらその細い管に詰まって死んでいたらしい。その話を聞かされた私も、父上気の毒にと思いつつ、これが本当のマウスtoマウスだね、と慰めておいた。父上ももっといいものとマウスtoマウスしたかっただろうが。

 

しかし人も減って山水を使う人が、マウスと実家の住人位しか使う事がないのも寂しい限りだぜ。あんなに綺麗い?なのに。