定時退社の心得

定時5分前、名札をとりパソコン用のブルーライト遮断眼鏡からフツーの眼鏡に変え、仕事用の腕時計を外し、膝掛けを机にしまい、という一連のお片付けを始めたいのだが、カッチョ様の視線も気になる為、定時の鐘が鳴ってから上記の動作を行う。本当は5分前にやり始め、終業のチャイムと同時におつかれさまで〜す!としたい所をグッと堪えている。大人。お利口。

 

しかしカッチョ様がおいでにならない時にそんな遠慮は必要であろうか。いや必要であるはずがない。この前妹が見せてくれた物凄い長い白い腕毛ぐらい不必要なものだ。という事で今日はカッチョ様がおいでにならないので、定時5分前イソイソと帰り支度を始める。

 

なんやかんや数分遅れるだけで、駐車場から車が出せにくくなるのだ。駐車場から車を出すの1番のりを最近は目指しているのだ。大体2番か3番くらいだが。私より早い強者はあれだな、きっと帰り支度を5分前から行っている心が鋼で出来た、鋼鉄の心の持ち主なのだろう。就業時間内に帰り支度を始めるのはなかなか勇気がいるぞ。

 

しかし風のようにデスクを立ちフロアを去っても、海向こうの国からやって来た人達の帰るスピードには追いつけない。どんなに早くフロアを出ても、工場で作業している彼らの退社の速さは疾風の如し。勝てない。風林火山。て、意味わかんない。

 

今日は取引先の埼玉出身の玉さんが来て、色々仕事の依頼をするのだが、真面目に書き書きとノートにメモを取っている。大学を去年出たばかりの青年だから真面目なのか、性格が真面目なのか、私は殴ってボコボコにされた、これぞ殴り書きという字を端切れのような紙に走り書きする性分なので、メモを丁寧に書き書きしている人を見ると、異星人を見るような目で楽しく観察対象にしてしまう。結構丁寧に書いている。私は書く、という行為にある意味少し恥ずかしさがあって人に書かれている所を見られるのは御遠慮したいものなのだ。

 

そう言えばこの前玉さんに、関西や関東は県ごとにヒエラルキーがあるが本当か?と聞いた事がある。ここ中部地方はあんまりそういうのないんだよなー。それで玉さんに聞くとある、という。栃木がなんとか神奈川がなんとか、とか言っている。群馬は?と聞くと群馬はそもそも別格だ、戦いに入っていない、という。それをこの前群馬の友人に話したところ、何を言うか、埼玉はみんな東京に働きに行ってる人ばかりだ、埼玉には寝に帰るだけ、もはやあの県は布団しかない、と仰った。

 

思わず笑ったが、関東とか関西にある県同士の張合いが中部は特にないからそういう感覚が分からないんだよな。だからそういう話を聞くのは、それこそ異国の話ぽくて面白いものだ。書き書きメモしている人の書いている所を眺めるくらいは。